メソッドチェーンでアスペクト指向プログラミング

透過プロキシでアスペクト指向プログラミング (1) では、ログ出力やデータベース トランザクションなどの横断的関心事を、

public class NorthwindBusiness : MarshalByRefObject
{
    [TraceLog]
    [TransactionScope]
    public short SelectUnitsInStock()
    {
    }
}

のように、属性として記述することができました。
今回は属性を使わずに、LINQ と同様にメソッドチェーンを使って横断的関心事を記述してみます。

まず、戻り値を持つ (Func<TResult> に相当する) 処理を IProxyable<TResult> インターフェイスとして定義して、
後ろにメソッドチェーンを追加することで処理を上書きできるようにします。

これを実行すると出力は次のようになり、元の処理の前後に処理が追加されていることがわかります。

Before
Body
After

次に、戻り値を持たない (Action に相当する) 処理を表す IProxyable インターフェイスを、
IProxyable<TResult> インターフェイスの特別な場合とみなして継承させます。

あとは、ログ出力やデータベース トランザクションなどの横断的関心事を拡張メソッドとして作成すれば完成です。

実行結果です:

ProxyableConsole

 

使い道としては、

  • .NET で透過プロキシを使いたくないとき (処理速度を上げたい、など)
  • .NET の属性のような仕組みを持たない別のプラットフォーム

などの場合が考えられるでしょう。

前回:透過プロキシでアスペクト指向プログラミング (2)

作成したサンプル
ProxyableConsole (GitHub)

バージョン情報
C# 7.0
.NET Framework 4.5

参照
アスペクト指向プログラミング

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透過プロキシでアスペクト指向プログラミング (2)

前回の記事で、NorthwindBusiness クラスの透過プロキシを生成するときに、

var nw = CrossCuttingProxy.CreateProxy<NorthwindBusiness>();

というコードを記述していましたが、
MarshalByRefObject の代わりに ContextBoundObject クラスを継承させると、通常のコンストラクターを利用することができます。
ただし、クラスに属性を付ける必要があります。
次のように実装します。

以上で、

var nw = new NorthwindBusiness();

と記述できるようになりました。
なお、上記のコードには現れていませんが、
コンストラクターが呼び出されたときに、CrossCuttingProxy クラスの Invoke メソッドが呼び出されます。

 

前回:透過プロキシでアスペクト指向プログラミング (1)
次回:メソッドチェーンでアスペクト指向プログラミング

作成したサンプル
CrossCuttingConsole (GitHub)

バージョン情報
C# 7.0
.NET Framework 4.5

参照
RealProxy クラス
アスペクト指向プログラミング (Wikipedia)

透過プロキシでアスペクト指向プログラミング (1)

前回のインターフェイスに対する透過プロキシでは、RealProxy クラスを利用してインターフェイスに対する透過プロキシを生成し、
その実装クラスが存在していなくてもメソッドに処理を割り当てることができました。

改めて、透過プロキシ (transparent proxy) の主な特徴を整理すると次のようになります。

  • 対象となる型は、MarshalByRefObject を継承したクラス、またはインターフェイス
  • 各メンバーが呼び出されたときの挙動を上書きできる

今回は MarshalByRefObject を継承したクラスの既存の処理を透過プロキシで拡張して、
アスペクト指向プログラミング (AOP) を実践してみます。

一般的にアプリケーション設計においては、
ログ出力やデータベース トランザクションなど、いろいろなビジネス ロジックに共通する横断的関心事があります。
例えばデータベース トランザクションであれば、以前にファントム リードとその解決方法などで書いている通り、
ビジネス ロジックごとに TransactionScope に関する同じようなコードを繰り返し記述することになります。
この部分をアスペクト (側面) として分離し、属性として記述できるようにすることで再利用性を高めることを目指します。

まず次のコードで示す通り、RealProxy を継承した CrossCuttingProxy クラスと、アスペクトを表す属性を定義します。

ログ出力を表す TraceLogAttribute クラスとデータベース トランザクションを表す TransactionScopeAttribute クラスを用意し、
既存の処理の前後に割り込むようにしてそれぞれの処理を追加しています。

以上のようにすれば、ビジネス ロジックを次のように記述するだけで済むようになります。

実行結果です。ログが出力されています:

CrossCuttingConsole

 

前回:インターフェイスに対する透過プロキシ
次回:透過プロキシでアスペクト指向プログラミング (2)

作成したサンプル
CrossCuttingConsole (GitHub)

バージョン情報
C# 7.0
.NET Framework 4.5

参照
RealProxy クラス
アスペクト指向プログラミング (Wikipedia)